周南デザイン その3〝シビック プライド in 周南?〟

周南デザイン03
シビック プライド in 周南市

 シビックプライドとは聞き慣れない言葉ですが、意味は簡単です。直訳したまま「市民の誇り(自負と愛着)」です。郷土の自負をどう再生していくかというような研究ですが、ルーツは18世紀のイギリスで生まれた考え方のようです。近年の元気を失った日本の各都市部では、これを地域再生・まちづくりの切り札にと、研究課題として取組み始めています。
 ツイッターのタグから拾ったものでは、東京理科大学・伊藤香織准教授と日本デザインセンターの紫牟田伸子氏を中心に、日本における事例研究等が「シビックプライド会議」で今月初めオンライン配信されていました。(※活動報告は→シビックプライド研究会)
 私のブログ記事「周南デザイン」は中山間地の農村の3つの空洞化(人・土地・ムラ)は根底にある「誇り」再生が最重要課題だという明大農学部の小田切先生の指摘を都市部へ延長して書いていたものですが、 たまたまこの「シビックプライド」に遭遇したもので、研究の手法等はよく分かりません。(シビックプライド―都市のコミュニケーションをデザインする 著作は注文しましたが)

 Planning PRIDE (誇りの種を発見する)
 Designing DELIVERY (誇りの種を植える)
 Checking CHANGE (誇りの芽を育て世話をする)

 この本の第三章にある三つのフェーズを想定して、一つずつ取組めば簡単な取組みのようですが、果たして周南市ではいかがでしょうか? 考え方や手法はさほど難しいものではありませんが、地道な努力と時間が必要なことは確かなようです。特に誇りの芽を育てるのはホント大変そうです。でも、ムーブメントになってしまえば簡単なようですので、要はやはりデザインの在り方でしょうか?

■「デザイン都市・神戸」はモデルになるか?
 我が出身地の神戸は、都市的な条件は周南市に似ており、様々と参考になる取組みが多いですが、この地では、アジアで先駆けてユネスコの「創造都市ネットワーク」デザインのカテゴリーで認定され、「デザイン都市・神戸」を標榜、まちづくりの一環として様々な分野で都市デザインの取組みが進んでいます。
この行動宣言の中に、デザインという不可欠の力を・・・
「毎日のくらしの中で、環境・防災・福祉・教育といった私たちの身近な課題を見えやすくすること、伝わりやすくすること、そしてこれらに対して行動をおこさせること、これもデザインの大きな役目です。」と記しています。

■危機感の無さ?
 重工業が国家プロジェクトであった明治から、高度成長の昭和の街の生い立ちは、神戸と良く似た経過を経ています。まちはいつも活計(たっき)にあふれ、通過してくるモノや情報に満ち、市民生活は多彩なスタイルが選択・共有でき続ける筈でした。(この辺りは創造半分で書いています)
ところが低成長時代、経済はもとより社会意識の大きな変化が始まり、個々の生活の潤いや豊かさが求められる時代になって、多様で多彩なスタイルのニーズに応えることの出来る新しい産業やコミュニティの形成、新ツーリズムや文化事業育成などに立ち後れたことの大きなの要因は、安定した工業力にズッポリ依存しすぎたことでしょう。このことによる危機感の無さが中心部の急激な空洞化を招いたものとだと思われます。(神戸での危機感は次に触れます)

■デザインの力
 正確に言うと「危機感の無さ」ではなく、「危機感はあったのだろうが、それが上手くイメージ化されなかった」と考えた方が良いでしょう。つまりはデザイン力の欠如とも言えます。
身近なくらしの課題を見えやすくすること、伝わりやすくすることが「デザイン」だとすれば、自らのまちをデザイン出来ないことは大変不幸なことです。
 暮らし方、共有の在り方を 急速に変化し続ける時代というキャンバスの上で、市民の生活をデザインしきれなかったことが、延いては誇りの喪失に至ったとも分析できるかもしれません。(続く)

【関連ログ】
 周南デザイン最終稿「新たなる道標
 周南デザイン4〝周南アイデンティティを生み出す「道の駅」を創ろう!
 周南デザイン3〝シビック プライド in 周南?
 周南デザイン2〝イメージとスペース
 周南デザイン1〝プライドとブランド

周南市,シビックプライド,

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。