〝遊歩〟ハイキンググッズ10選・トイレ編

トイレのルールとマナー
愉快な話ではないが、上品ぶってあいまいにすることでもない

 日帰りのウォーキング(ワンディ・ハイク)では、装備、テクニック両面とも、それほどの難問は登場してこない。必要と思ったものは全部ポケットに詰めこめばいいのだし、腰か肩に小さなポーチをつければ、その中にいろいろ詰められるから、いっそう便利になる。必要と思いながらも残していかなければならないものが出てきても、心配はいらない。なんといっても、その日のうちに家に帰りつけられるのだから。(コリン・フレッチャー著、遊歩大全より)

 山歩きでのオススメ品を紹介していますが、元々〝装備をはじめ、歩き方とは、もともと主観的なものだ〟というスタンスで話が始まっていますので、結局は「自分で必要だと思うものを持って行こう」というところがベースとなります。「その1、ライト編」にフレッチャーの言葉を借りて、ワンディ・ハイクの装備品(スマホを含めて)全般のことを書いておきましたので、途中ページから入られた方は、そちらから目を通していただけましたら仕合わせます。

その2、今回のオススメのトイレグッズは・・・

 ハイキング、山登りにおいて、トイレの話は決して楽しいものではありませんが、これに対してはよく準備をして、現場でも適切に対応しなければ、楽しいはずのウォーキングに少なからず水をさしてしまうことになります。周囲に素晴らしい風景が広がり、ずっぷりとその世界に身を浸しておきたいそんな時に、次のトイレポイントのことばかり気にして歩くのはオススメできません。勿体無い限りです。また、前の日から水分補給を控えるとか、喉が渇いても我慢するとかいうのは論外です。熱中症や高山病に関わってくることですから、適切に水分は摂って歩きたいものです。コーヒー好きなら、山上でいただく一杯は、味もさりながら達成感を飲み干すような、下界では味わえない〝至福の一杯〟です。こんな贅沢をトイレごときで我慢するのも悲しいことです。
 特にこの問題、ご婦人たちにはわずらわしい話のようです。「ようです」と言ってしまうように、私ら(男)には、そこに気を配らなければと思いつつも、切実さに欠けて、うまくサポートできなかったことも多々あるようです。(女性リーダーなどがよく対策しているとは思いますが)コースリーダーは最低限、事前にトイレポイントをよく調べて、ポイントまでの時間をよく説明しておくこととが大切です。
 男の私が具体的にこうしようとか言っても説得力はないでしょう。最近、急増している山ガールたちに、そのあたりの事情をうかがうのが最適だと思います。このキーワードでググれば、いろんな対処法が紹介されていますので、それをその人なりに、予定のコース状態に合わせて活用してください。その中で、目に留まった対処法をいくつかここでも紹介しておきます。

〈ハイドレーションシステム〉
 バックパック内の水筒からチューブを使っての水分補給法です。専用品もあり、それに対応したバックパックもありますが、手作りでも簡単に作れそうです。いちいちバックパックから取り出すことが不要で、行動性が高くなります。水分補給のポイントは、体に吸収される分を効果よく摂取することです。一気にペットボトル半分程を飲み干したところで、その水分の多くは尿の方に回ってしまいます。喉が渇く前に、口内を潤すほどの水分をじわっと、舐めるように頻繁に摂っていれば、吸収率は良いし、必要以上に水分補給を我慢することないでしょう。こいつは掃除が面倒なことと、ボトルを持って「残りこれだけか」という目視が出来ませんので、水の残量が把握しにくくなるので、そこは要注意です。

お花摘み〉
 喉が渇いた状態が続くのは避けましょう。普通に水分を摂って歩くに越したことはありません。大概は汗となって放出されますので、下界にいる時よりは尿意も少なくなります。それでもトイレチャンスはいくつか必要でしょうが、その時に施設がなかったり、使えなかったりする場合も少なからずあるでしょう。そういう時は〝お花摘み〟に行くしかありません。まあ、あまり気にせず、さら〜と済ませるようになるのも、遊歩スキルというところです。が、なかなか、そういう風に馴染めない人も多いでしょう。
 レジャーシートや傘(ツェルトでも)で隠せば、急な人目があっても大丈夫とかの提案もよく聞く。まあ一般的なやり方なのでしょうが、今一つスマートさに欠けるような気もします。ここは一番ポンチョがオススメでしょう。簡便で自然な感じがよいし、さりげなく羽織れば、それが周囲への暗黙の合図にもなります。携帯トイレや処理袋がセットになった防災用のポンチョもありますが、今頃では雨具のポンチョもファッション性の高いものが出回っていますので、気に入ったものを一つザックのサイドポケットに入れておきましょう。もちろんのこと雨具としても便利です。
 お花摘みでの注意点は、安全の確保です。トイレに気を取られて集中できず、その時に起きる事故や怪我も少なからず起こっています。中には携帯電話も含めて一切の荷物を仲間に預けて、藪の奥に入っていってしまい戻れなくなったという話もあります。その他、蛇やムシにも要注意です。山慣れてないメンバーであれば、経験者が花摘み場をチェックしてあげるのも必要なことです。
 しかし、隠れるところのない稜線や草原で、しかも大きい方が催してきた。などということもあるかもしれない。お腹の調子によってはあっても不思議じゃありませんが、この時は男性でも切羽詰まるでしょう。そこまでのことを心配される方には、ポンチョとセットで、やはり携帯トイレを用意しておきましょう。一つ200〜300円のもので十分でしょう。日常生活でも役に立つことがあるモノです。

★アウトドアカルチャー『A kimama』にイラストレーターの鈴木みきさんの〝用足し風景〟が紹介されいます。

 食べる・飲む・出すの最初の2つは楽しくプランニングしますが、出す方は、ついつい消極的で、その場限りの対処で終わってしまいがちです。自然のエリアに踏み込んでいるので、自然とうまく融和して、自然に処していきたいものです。個々の工夫はその人にお任せするにしても、マナーとかエチケットは共有すべき大切な課題です。これは、山に限らずその人の生き方・ライフスタイルに関わるものだと言ってもよいでしょう。

自分の出したものは全て持ち帰る

ネコ式トイレ法

 キャパを超えた訪問者が生み出している自然フィールドでの環境問題にも、様々な論議があると思います。私自身は、無責任と思われるでしょうが、特にそういう議論に積極的に組みするつもりはありません。個人的な基本ルールは「全て持ち帰る」「現状保全」という2点です。「尿も便も持って帰っていたか?」
という問いに答える前に、ここでも師匠のフレッチャーに登場してもらいましょう。

トイレの問題は決して愉快な話ではないが、キャンパーたるものはだれでも、あまり上品ぶってあいまいにしておくことなく、他のキャンパーのためにもオープンな気持ちで考えることが必要だと思う。(遊歩大全 596頁)

と述べて、トイレの対処法を数ページ割いてあれこれ説明しています。彼の個人的セオリーは〝ネコ式トイレ法〟(cat sanitation)です。ネコのやるような方法をていねいに実践するのです。まあ、穴を掘って埋めるということなのですが、少なくとも10〜15cm、好ましいのは15〜20cmと、その穴の深さまで細かく指定しています。(場所も水系から最低は15m、理想は150mは離れたところで)使った紙はモノの上で燃やして、ハエの侵入を防ぎ、すぐに土を被せる。穴は深すぎるとダメだとも書いています。昆虫やバクテリア、菌類などが活発に働けない深い不毛地質まで掘ってしまったら意味がないとのことです。つまりこれは、有効な分解サイクルを確保するための方法なのです。分解しにくい土質であったり、多人数の場合は、石灰や消毒剤も持っていくべきだとも言っています。
 私の家も、上下水道共にないところに建てたものですから、井戸水と庭に埋め込んだ浄化槽によって下水を処理しています。その仕組みを自然のフィールドでもやりましょうということです。
 過剰が問題を引きおこす点を踏まえて、何が過剰でどこまでが過剰でないのか、判断のいるところですが、その線引きをするにはやはり、自然をよく見つめて、自然の仕組みをよく勉強しておかなければいけないということでしょうか。自然フィールドには野生の動物がくらしており、彼らも排泄をしていますが、バランスを崩すものではありません。いっときに同じ場所に過剰に集まってくると、その場所に環境の負荷がかかって、保全が崩れてくるのです。北米の広大なナショナルフォレストの中で、幾人かのキャンパーが入ったところで、そうそうバランスが崩れるものとは思いませんが、自然への細心の思いやりは必要不可欠です。

 私も毎朝夕、犬の散歩で土手道や田舎のあぜ道を使わせてもらいます。最近のペットブームでワンちゃんたちもずいぶんと増えてきました。土手道の草むらで一匹がマーキングすると、次から次にくるワンちゃんも同じ場所にマーキングしていきます。さすがにそんな風になると、草といえども悲鳴をあげて枯れてくる場合があります。尿の塩分や窒素で、木や芝も枯れることがあります。
 自然のバランスは案外とナイーブなものです。ワンちゃんには申し訳ないのですが、マーキングの後には水をかけなければなりません。少し話がズレたようですが、私がよく歩いている日本のしっけた腐葉土たっぷりの山路では、それほど厳密なネコ式トイレ方はいらないでしょう。しかも、ほとんどハイカーとも出会わないような過疎のところですから、〝出たもの〟を持って帰るという信条が、なかなか実践できておりません。しかしながら、人が集中して、環境に大きな負荷がかかっている山岳・高原では〝出たものは全て持ち帰る〟ことがセオリーとなっていくようです。既にそういう方向に向かっているエリアもありましょうし、実践されている方も多くいます。今では簡便で清潔な簡易トイレもよく普及しています。生ゴミを持ち帰るようになったように〝わが便り〟を持ちかえることなども当然のマナーになるのもそう時間はかからないでしょう。

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