003.周南エコツーリズム基盤整備と宣言

●山こそエコツーリズムの起点に.2(前回からの続き)

 「今、必要とされているものは何だろうと?」地域ブランド研究会でも、特産品・商品開発にかかわるニーズのあれこれを良く検討しました。ニーズの意味は、必要・要求・需要。「市民の―にこたえる」「消費者の―が多様化する」という視点であれこれ掘り下げていきますが、他者の要望を窺うより、自身において「欠けているモノ」をピックアップするほうがずーと簡単で利便です。ニーズの本来の意味は「欠落」という意味らしいですが、山を起点としたエコツーリズムを考える上でも、このニーズからアプローチすれば、とても簡単に回答が引っ張りだせます。
 周南市域の山々や遊歩スポットを紹介する書籍・登山ガイドブック・ハイキングマップがまず少なすぎます。学術関連資料や行政書籍を除けば、ほとんど全市域的にまとまりのあるモノは無い、流通していないと言えるでしょう。「山口県の山」など県単位で集約した書籍はいくつかあります。それらから周南地域の山の情報をピックアップして参照するかですが、系統的な山域情報を得ろうとすれば、ほとんどはネットで個人的なブログや山行記録を頼るしかありません。それらの個人的な記録も、個人の感想や体力基準で記録されていますので、ポイント間の距離や踏破時間に一定のレギュレーションをもっているものではありません。

 再三、神戸と比較して恐縮ですが、都市部のすぐ北に屏風のように連なる六甲山系をいただくこの地では、裏山・六甲山系に関する書籍は、図書館や本屋の棚の1コーナーを埋めてしまう程揃えられています。そして多くの六甲山ハイカーの拠り所となっているのが、昭文社のエアリアマップ(山と高原地図)です。日本100名山が絡むか、著名な山域を(現在59カ所)対象にものしか作成されていませんので、残念ながら山口県域での該当マップはありません。 
 エアリアマップ「六甲・摩耶」(著者:赤松滋)は私が六甲山を歩き始めた頃で年間3~5万部の発行があったと聞きましたので、いかに愛好者の層が幅広いものだったか(よくニーズに応えられたモノだったか)が想像出来ますし、数百万人といわれる関西圏のハイカー達の共有情報として、このマップにおいて提供された・地形的イメージや、地理的レギュレーションの果たした役割は非常に大きいものだと思いますし、何にましても山歩きの楽しさ・遊歩文化を成熟させたその貢献度はきわめて大きいでしょう。

●まずはマップという基盤整備から・・・

これに習って周南市域においても、単なる観光マップではない、山岳地図としての精度の高いガイドマップが作成出来れば、この地におけるエコツーリズムの一つの基盤となることは確かなことだと考えます。たかが地図一枚の話ですが、これを昭文社や山渓レベルに負けないものを作成するには、かなりの労力とコストが必要です。だからと言って、よく行政にありがちな、どこか専門業者に委託してしまうようなやり方は感心できません。それはあまりにもお粗末で、芸のない話です。「共生・競創・協働」を標榜する以上、一者で作り出すのではなく、ここでもエコツーリズムに関心ある市民、地域活動グループなどと連携を図って、その中で作業を進めていくことが筋道に合っているようです。
地元の世話好き、方々で活動している山好きという潜在的な人材は山ほど居られるはずです。学生スポーツクラブや企業の愛好者も交えて、産官学で推進していくのも有効な方法でしょう。このプロセス自体が連携資源ともなっていきますし、作り上げた時の一体感・共有感こそ周南のシビックプライドの貴重な種となっていきます。

■四熊岳~嶽山~若山などの新南陽背山群、■飛松山~観音岳~城山~黒石山~大谷山~昇仙峰の西徳山ピーク群、■大華山~笠戸島~下松の南海ピーク群、■和田や熊毛の東山域、■鹿野周辺に点在する1000m級の山群等など、広域な合併市域のあちこちに点在する山域をすべてフォローして、1/2.5万又は1/5万縮尺:一枚の地図に収めるのは至難の業かも知れませんが、市民プロジェクトとしてはめっぽうやり甲斐のある楽しいものになりそうです。

●そして「周南エコツーリズム宣言」本題はここからです。
 この情報共有マップ作成という基盤整備と平行して、エコツーリズムガイド(ボランティアガイド)の育成・運営やこれを支援する施策を充実させることも不可欠です。そうして、この活動のコンセプトを象徴的にアピール出来得るイベントを築くことも絶対に必要でしょう。
 私たちが暮らす町の裏山・背山をしっかり体感出来て、その体験を全市的な共有感に高めることが出来るイベント、エコツーリズムへの関心の喚起させて、市域の内外への強烈にアピールし、「周南エコツーリズム宣言」とでも言えるようなシンボリックイベントを企画・開催して市民行事として持続的に育んでいきたいものです。(次回!いよいよイベントプランの紹介です)

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 003. 周南エコツーリズム基盤整備と宣言
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